「流通全体に貢献する」。
確固たる信念のもと業界のパイオニアとして歩んだ道。
- 吉田
- 物流業界に限らず、労働人口の減少による人手不足は社会的に大きな課題となっています。限られた人材をめぐって獲得競争が激化するなかでは、これまでの物流の重たいものを持ち、長時間働く「きつい労働環境」というイメージを変えていかなければなりません。そのためにもマンパワーにのみ頼るのではなく、省人化、省力化を強力に推し進めることが必要不可欠だと考えています。
- 野口
- その通りですね。くわえて言うならもう一つ、ノウハウの属人化をいかに解消するかという問題もあります。私が入社した頃の事務処理は非常にアナログで効率が悪く、ノウハウが組織内で共有されないということが問題でした。
- 北島
- そうした属人化を解消するために、さまざまなシステムを開発、導入し、知識やノウハウの見える化を進めてきたと聞いています。
- 野口
- 当社がデジタル化に舵を切ったのは、業界としてはかなり早かったのは事実です。1970年代にはすでに一部ではありますが、オンライン化を導入しており、それがのちのWMS(倉庫管理システム)につながっています。
- 吉田
- 象徴的と言えるのが、1990年代にすでに「流通情報企業」を掲げていたことですね。モノの輸送にとどまらない、生産者から消費者までのモノやサービス、情報まですべての流れを掌握、コントロールして効率的に行う、そんな決意が表れたものでした。流通全体に貢献したいという強い思いがあったからこそ、デジタル化においても業界において常にパイオニアと言える存在であり続けられたのだと思います。
- 北島
- 「流通情報企業」としてのスタンスを実現しえたのは、物流の実働部門と、企画・コンサルティング部門、システム部門がもともと一つの会社に揃っていたことも大きな要因となっているのではないでしょうか。
- 野口
- 現場、企画、システムの3つが揃わなければ流通全体を把握し、変革することはできません。まさにこの3つの部門が三位一体となって取り組む環境があったことが業界に先がけてデジタル化が進んだ理由だと、私も考えています。
- 吉田
- 活発に議論を行いながら、自分たちにとって必要なシステムを、自分たち自身でつくり上げる、そういう土壌があったことは大きなアドバンテージだったと私も思います。フィードバックも早いですしね。一方で、そうして都度、必要なシステムをつくっていった結果、事業所ごとに200~300もの個別システムが乱立するという状況をも招いてしまった。これでは組織として情報を共有し、PDCAをスピーディーに回していくことは難しいでしょう。そこで新たに立ち上がったのがDX推進プロジェクトです。